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炭坑用オイル・ランタン
KOEHLER社製作
MINERS SAFETY LAMP NO.209
事の始まりはアメリカ東部の田舎町での事。
フリマ回りをした週末の最後に寄った1軒。
テキトーに見て回っていると、店主不在の店の奥に
凄いインダストリアルな見え方の得体の知れないも
んが並んでいた。
隣の店のダンナにアレ何? と聞くと炭坑で使ってい
たランプと言われた、フーンそうなのと聞き流しな
がらも目はそのランプたちに釘付け。
主人の帰りを待つがどうやら帰ってこないようだと
しぶしぶ帰路についたけど、何ヶ月経ってもあのラ
ンプが頭の中をうろうろしてる。
そうこうしている内に川上村のデッキ計画も忙しく
なったり、アメリカに行ってもあの田舎町は行けな
いまま2年ほど経った。山で使う道具をあれこれ選
んでいると当然、あのランプの事が頭をよぎる。
検索しようにも見たものが一体何なんだか判らない
から検索しようがない、手に入れて確認したい
まだ、あの店にあるかなぁ..... うだうだ考えていて
も始まらないからアメリカまで買い出しに行ってみ
るか、他にも面白いモンもあるかも知れないし。
そんなわけで在米の友人に無理を聞いてもらい3時
間ほどかけて曖昧になってる記憶を手繰りながら車
でペンシルベニア地方をうろうろ、大方のフリマは
全部回ったけど、どこも"あの店"とは違う、祈るよ
うな気持ちで閉店時間ギリギリに駆け込んだ最後の
一軒は、まさに店を畳もうとしていた矢先だった。
東洋人3人、凄い勢いで走ってきたので店主は後ず
さり。"何だお前らは"との顔を無視して、値段交渉
も何もあったもんじゃあない、此処だ此処だとはぁ
はぁ息が上がりながら一言。
"これください!"
以来、在米の友人に更なる協力(このタイプの物は国
内発送しかしない人が多かった)を仰いでeBayなど
で順調に手に入れて現在5つが点灯中。
そんな念願が叶って手に入れたランプは炭坑で坑道
を照らす電灯が普及する前に使われていたセーフテ
ィランプというもの。1800年代から様々な型が販売
されていた、このKOEHLER社だけでなくN.Yにあっ
たWOLF社製など複数の会社から製品が出ていた模
様。なかでもこのマサチューセッツ州にあったKOE
HLER社のNo.209のデザインがとてもモダンでイイ
一節にはこの209品番は1920年代のものという人も
いるのに現代的でいいわ。
同じ209という型番でアルミ製と真鍮製の2種類を過
去に確認。自分で持っているのははアルミ製のみ一
番上の蓋部分に刻印があって、それを見るとどの時
代のものかが判る、
電化されてない時代(一節には1950年代頃まで)に坑
道を照らすランプは裸火のまま。炭坑に可燃性ガス
が出ると、この坑道を照らすランプの火が引火原因
での事故が頻発していた、そこでランプの火を真鍮
の網などに当てて温度を下げるラジエター方式が発
明された。
これによって火から出る排気温度がさがりガスの引
火温度より低い排気で坑道の照明が確保された、こ
のラジエターを通す方式をセーフティーランプとい
うらしい。本体の一番下の塊はオイルタンクその上
にガラスのホヤが乗って中に点火ライターとランプ
の芯そしてその上の四角いくぼみが並んでいる部分
が炎の温度を下げる金網が内蔵されてるラジエター
部分、全体はつや消しのアルミ地仕上げ、渋い。
オイルランプだから音もなし。
タフガイだけど物静かなSound of Silenceな灯り......
そして、大して明るくない.........。
(小林)